本棚はライフスタイルの縮図。本の並べ方を変えれば、アナタの生活も性格も変わるかも?
- 本棚に本をどうやって並べたらいいのかわからない。
- 見た目もカッコよくしたいけれど、そのせいで読みたい本が探せなくなってしまっては本末転倒だし・・・。
- 実用的でインテリアとしても見栄えする本の並べ方ってないの?
結論を先に言ってしまうと、そういった方法はあります。
コツは、本の並べ方(分類)と置き方(ディスプレイ)を分けて考えること。並べ方をしっかりと決めてから、置き方を考えるのがポイントです。
本の並べ方:なにを基準にする?
どんな並べ方が自分に合っているかは、実際に試してみないとわからないもの。今回紹介する方法で気になったものがあったら、まずは実践してみましょう。
右から?左から?左右の並べ方の違い
数年前、Twitterでこんな話題がありました。
個人的には、人間は横方向に物を探すとき左から右へと視線を動かす傾向があるので、それに合わせたものではないか? という考え方がしっくりきますね。
そもそもの成り立ちはどうであれ、現代の僕らが慣れ親しんでいるのは、左から右という並べ方でしょう。
使い勝手を重視するなら、やはり左⇢右という流れに従うのが基本ですが、あえて逆向きの並べ方を一度試してみるのもおすすめです。
普段の通勤電車とは逆方向の電車に乗ったときのような不思議な感じ。いつもと違った新鮮な気分が味わえますよ?
図書館や書店の並べ方は?
本棚のお手本と言って最初に思い浮かぶものといえば、図書館や書店です。
図書館に置かれる本には、すべて「分類番号」と呼ばれる数字が割り当てられています。これは「日本十進分類法(NDC)」という本の分類法に基づいており、内容によって10×10×10のグループに分けられています。
図書館の本の並べ方(書架)は、すべてこの分類番号の順番に整理されています。同じ分類番号の書籍は受け入れ順に並べるのが一般的のようです。
つまり、図書館は「ジャンル」⇢「購入順」という基準で本を並べていることになります。
書店の場合も、ジャンルごとにお店や棚をゾーニングするのが基本。小説や漫画などはさらに出版社別にしたり著者別にして分類するのが一般的です。
それに加えて、書店ごとにプッシュしている商品を平積みにしたり、別にコーナーを作ったりすることで変化を作り出しています。
最近では、出版社や著者にはこだわらず、ジャンルも元々の本自体が想定しているものではない書店独自の「テーマ」で分類しているお店もよく見かけます。個人的には店ごとの個性があってそういった書店のほうが好みですね
というわけで、書店の本の並べ方は「テーマ」⇢「出版社」⇢「著者」という順番で本を並べているようです。
Ⅰ:テーマ・ジャンルで本を並べる
図書館や書店も、まずはジャンル分けをしてから本を並べるようにしている点では共通しています。
自宅での蔵書の並べ方も、基本的には大まかなジャンルで本棚をゾーニングしたほうが、検索性も高くておすすめです。
最近の意欲的な書店のように、自分で独自のテーマを考えるのもおすすめ。その時々で自分が注目しているテーマに合わせて、手の届きやすい場所に「平積みコーナー」を作っても面白いかもしれません。
仕事の資料と趣味の小説などをはっきりとわけると、気持ちが切り替えやすいといった効果も。まずは試しに、仕事と趣味とで本を大きく2つに分けてみては?
Ⅱ:50音順(タイトル/著者/出版社)に並べる
蔵書が多い方など、ジャンルだけで分類しても整理しきれない場合は、著者や出版社などで分類し、50音順に並べるようにすると、上手く整頓できます。
特に文庫や新書などは出版社によって装丁が共通しているので、並べたときにスッキリと見える効果もあります。
自分がどの著者を贔屓にしているかはおおよそ把握できているかと思いますが、こうやって並べ替えてみると、意外に出版社の好みも偏っていることが発見できたりも。
また、ジャンルも著者も出版社も無視して、すべての蔵書をタイトルで50音順に並べてしまうという大胆なテクニックもあります。
検索性は多少下がってしまいますが、意外な本が隣り合うことで本の新たな魅力が発見できるメリットが期待できるかもしれません。
Ⅲ:大きさで並べる
本棚のスペースをなるべく有効活用したい方は、本のサイズを合わせて並べるようにすると、見た目もキレイに見えて一石二鳥です。
カラーボックスを本棚代わりに使っている人など、収納スペースの上半分以上が空いてしまっているようなもったいない例をよく見かけます。
本棚はなるべく棚の高さを変えられるようなタイプのものを選び、本の高さを揃えて収納すると、限られた空間を最大限活用できておすすめです。
あと、意外と見落としがちなのが本の幅。
本棚の奥行きも考慮した整理整頓を心がければ、本の二列に並べることも可能。さらに背表紙の面がぴったり合うように揃えれば、すっきりとまとまった印象を与えられます。
揃えるばかりでなく、あえてリズムを作るように異なる大きさの本を並べるというテクニックもあります。整然とした本棚に飽きてしまった方はぜひチャレンジしてみてください。
Ⅳ:デザインで並べる
視点を変えて、本のデザイン(装丁)を活かした並べ方を試すと、これまであまり注目していなかった本の新たな魅力が発見できるかもしれません。
色でグラデーションを作っても面白いですし、背表紙がなんとなく似ている本を隣り合わせてみても面白そうです。
おしゃれなブックカバーを掛けるのもおすすめ。あえて中身がわからないようにするとワクワク感が増していいかも。
DIY好きな方は自作してみるのも楽しそうですね。
【作り方】手作りブックカバーまとめ|紙、布、革、印刷、文庫本・A3~A5ほか – ブックオフオンラインコラム
本の雰囲気に合わせたデザインを考えてみたり本の感想を書き込んでみたりと、色々とアイデアが広がりそうです。
ネットを探せば印刷用のテンプレートをダウンロードできるサイトなどもありますので、お気に入りのデザインを探してみては?
hontoブックカバー:無料で印刷して作れます
Book Style | ブックカバーデザイン無料ダウンロードサイト
Ⅴ:使用頻度で並べる
ものぐさな方や蔵書がそれほど多くない方は、一列分の棚を用意し、読み終わった本を一番手前に並べていく方法が手軽でおすすめです。
これは、野口悠紀雄氏が提唱する超整理法の「押出しファイリング」というテクニックを応用したものです。
使用頻度が高い本がとりだしやすくなるため、実用性を重視する方にもピッタリです。
自分にとって重要な本が手前に、そうでないものは自然と奥へ。溜まってきた本を処分するときも取捨選択がすぐにできそうですね。
Ⅵ:他にもいろいろ。ユニークな本の並べ方
上記で紹介したもの以外にも、アイデア次第で様々な本の並べ方が思い浮かびます。
バーコードの数字に着目してみたり、本のタイトルでしりとりをしてみたり、著者同士の意外な交流を発見して一緒に並べてみるのも、想像力を刺激しそうです。
また、応用テクニックとして自作のカバーを掛けた上で、自分で考えた新しい本のタイトルを書いてみるというのも楽しいかも。実用書などは内容を整理するのにも役立ちそうですね。
本の置き方:インテリア映えするコツは?
おおよそ本の分類が終わったら、次はそれらをなるべくカッコよくディスプレイしてみましょう。
Ⅶ:あえて空白スペースをつくる
すき間なくびっちりと本が並べられた本棚も重厚感があっていいですが、どうしても窮屈な印象が拭えません。新しい本も買いづらいですしね。
そこで、本棚にはあえて「余白」を残しておくのがおすすめ。棚によって開けておく場所や幅を変えれば、空間にリズムが生まれます。
単にスペースを空けておくだけでなく、表紙のデザインが美しい本をあえて正面に向けて飾ってもいいですし、雑貨や照明などをディスプレイしてもおしゃれです。
湿気が溜まりにくくなるメリットもあるので、本の保管という点でもぜひ「余白」に注目してみてください。
Ⅷ:ブックエンドを組み合わせる
おしゃれなブックエンドは、それだけでインテリアディスプレイとして役立ちます。余白も作りやすく一石二鳥です。
ある程度重さがあるものなら、雑貨や文房具をブックエンド代わりにしてもいいかもしれませんね。
Ⅸ:あえて積ん読にする
本を平積みにするいわゆる「積ん読」も、テクニック如何によっては立派なディスプレイになります。
腕に覚えのある方は、書店などでたまに見かける「タワー積み」にチャレンジしてみては?
タモリ倶楽部で特集された「書店員として必要のない技」“本タワー”にTLで賛否両論 – Togetter
2016.6.19 | 「本タワー積み選手権」優勝者に、レッドブルタワーをつくってもらった | 本タワー
Ⅹ:ユニークな本棚を使う
本棚自体をおしゃれなデザインなものや斬新なつくりのものを選べば、それだけでインパクト抜群です。
中には「どうやって本を並べたらいいの・・・?」といった奇想天外な本棚もあったり。センスや発想力が試されそうですね。
Ⅺ:多すぎる漫画(コミック)や小説(文庫本)はケースへ
コンパクトだからと油断してついつい増えていってしまいがちなのが、漫画や小説の類です。
読む頻度が減った本でも、処分するとなると抵抗が・・・という方は、ケースに入れて別の場所に保管するという方法がおすすめです。
サイズが揃っているコミックや文庫本は専用のケースもいくつか販売されており、そういったものを活用すれば大量の本もすっきりと収納できます。
置くスペースがない方は、ダンボール一個から利用できるトランクルームを利用するのもおすすめ。中には蔵書管理に最適化されたサービスなどもあるので、大切な本もしっかりと保管しておけます。
Ⅻ:壁一面の本棚を作る方法
愛書家の方がいつかは自分の家で実現したいと夢見る「壁一面の本棚」。大きな壁面いっぱいに整然と並んだ本は、それだけで趣がありますよね。
新築住宅やリフォームなどで本格的な造り付け本棚をオーダーするのもいいですが、既存の収納家具を組み合わせることで手軽に壁一面の本棚を実現するテクニックもあります。
気分だけでも味わいたい、という方は本棚をモチーフにした壁紙(ウォールステッカー)などを貼ってみるのもおすすめ。本当の本棚をさり気なく混ぜて、ちょっとしたトリックアート気分を味わってみては?
XIII:「本棚を持たない」選択肢もアリ
あえて特定の本棚を作らないというのも一つのテクニックです。
とはいっても、本を読まないというわけではもちろんありません。おすすめなのは、家のあちこちに「ミニ読書コーナー」を作るという方法です。用意するものもブックエンドくらいで済むので、非常に経済的。
棚の上や出窓の棧(床板)などに数冊の本を置き、どこにいてもすぐに本が読める環境を作るというわけ。読書に集中できるからとトイレにも本を置いている方もいます。
こちらのほうが、本当の意味で「本に囲まれた生活」と言えるのかもしれませんね。
本棚の心理学:並べ方で自分の性格がわかる?
いま、あなたの本棚はどんな基準で本が並んでいますか?
本や本棚の有無や蔵書の種類は、個々人の価値観に基づいて一つ一つ選択されています。本の並べ方は、その人がどんな基準で物事を判断しているか、何を優先して日々生活しているかを端的に表しているのです。
みなさんも何かの折に友人・知人の本棚をふと見て、「こんな一面があるんだ・・・」や「この人とはちょっと合わないかも・・・」と感じた経験があるのではないでしょうか。
どんな本の並べ方が最も良いのか。それは人によって千差万別です。
自分がどんな価値観を持っているか無自覚である人も中には(ほとんど?)いるでしょう。そういった自己を省みる意味でも本棚や本の並べ方に注目するのは非常に役立ちます。
自分にとって何が大切なのかわからなくなっている人は、本棚を片付けたり、本を並べ替えてみましょう。人に言われたとおりにやるのではなく、お手本を参考にしつつも自分なりのやり方を模索することが大切です。
性格を変えたいと考えている方は、それに合わせた本の並べ方を試してみるのもいいかもしれません。もう少しアタマを柔らかくしたいなら、あえて無造作に本を並べてみたり、とか。
外面や環境を変えることで、内面も自然とそれに合わせたものに変化していくものですからね。
まとめ:まずはいろいろと試してみよう。
かくいう僕も、仕事で依頼者のお家の整理整頓は行えども、自分の部屋は汚部屋とはいかないまでも、とてもインテリアコーディネーターの部屋とは思えない、まさに紺屋の白袴といった有様でした。
これではイカンと一念発起し、本の並べ方にこだわってみたのが数年前。そのときに出した結論は「どんなことも自分で試してみないとわからない」というありふれたものでした。
うず高く積み上がった本を「えいやっ」とまとめて処分したり、電子化にチャレンジしようと自炊セットを揃えてみたりもしました。並べ方も、今回紹介したものは一通り試しました。
自分で裁断した本を見て罪悪感を感じてしまったり、処分してしまった本を「早まったかな・・・」と後悔したりもしました。色々な失敗や新たな気づきを得て、ようやく自分に合ったやり方を見つけ出すことができたのです。
現在は、テーマごとに大雑把に分けているだけ。そのかわり、メインの本棚とは別に使用頻度の高い本を置く「ミニ本棚」を別に用意する形に落ち着きました。
新しく買う本は、電子書籍版があればひとまずそちらを購入し、何度も読み返したくなるような本は、紙の本も買ってミニ本棚に置いています。
これはあくまで現在の僕の例です。ライフスタイルや考え方の変化によって、これからも本棚の有り様は変わっていくでしょう。
おまけ:本棚は人に見せるためのものじゃない。
本の並べ方は実用性が大事で、見た目なんか気にする必要ないという意見も、もちろんあります。
インテリアコーディネート全般に言えることですが、過度に人の目ばかり気にして表面を取り繕っても、使いづらく(生活しづらく)なってしまい本末転倒です。
見た目の美しさにこだわるのは、あくまで自分のため。毎日を気分良く快適に生活するためにおしゃれなインテリアがあることを忘れてはいけません。他者には無秩序に見えたとしても、自分にとって至福の空間ならいいではありませんか。
最後に、キレイに片付いた部屋が唯一の正解というわけではない点も、ちょっと触れておきたいと思います。
整理整頓が行き届いた部屋は、論理的な思考を促進するメリットがありますが、その反面、創造的な思考や新しいアイデアを阻害してしまう恐れもあるという研究データがあります。
アインシュタインをはじめ、天才と呼ばれる偉人たちの部屋の多くは、非常に雑然としていたことでも知られていますよね。
神経質に片付けだけ固執するのではなく、ある程度の無秩序は許容しつつ、娯楽として整理整頓を楽しむくらいがちょどいいのかもしれません。
整理整頓は自己コントロール感覚を身につける効果がありますが、すべてを完璧に計画通り実行していくのではなく、周囲の変化や偶然を楽しみながら臨機応変に、軽やかに生きていきたいものですね。