その椅子ホントに合ってる?
皆さんは「人間工学(エルゴノミクス)」という言葉をご存知でしょうか?
人間工学とは、人が自然な動きや状態で使えるように物・環境をデザインすることを目的とした学問です。高級なオフィスチェアーなどで「エルゴノミクス・チェアー」と書いてあるのを目にしたことがある方もいらっしゃるのでは?
体に合わない家具を使っていると、知らず知らずのうちに姿勢が悪くなったり、余計な負荷を体にかけるだけでなく、脳に血流が効率的に送られず、集中力を低下させる原因となってしまいます。
効率的に、気持ちよく作業するためには、自分に合ったデスク・椅子を選ぶ必要があるのです。
最適な高さ・大きさは?
まずは、椅子の高さを決めます。基本は足裏全体が床に付く状態。膝の角度は90度です。
次は椅子の高さを基準にデスクの高さを決めます。主にパソコン作業をする人は、肘を90度に曲げて自然に天板へ手が置ける高さに設定しましょう。
また、ディスプレイの位置が高すぎたり低すぎたりするのも、姿勢を悪くしてしまう原因です。画面上部がちょうど目線の高さくらいになるよう、ディスプレイの高さも調節しましょう。
デスクの広さも、ただ大きければいいというものではありません。無駄に広いデスクはついつい余計な物を置いてしまいがち。必要最小限にとどめておくのが賢明です。
万能なデスクセッティングはない
作業の目的によって、最適なデスク環境は異なります。パソコンに向かってするのと書き仕事では、姿勢が大きく変わってしまうのですから当然です。
最近ではパソコンで映画(動画)を見たり、ゲームをしたりする人も多いかと思います。様々に変化する姿勢に合わせて、臨機応変にデスク環境を対応させていく必要があります。
複数のデスクを持つメリット
目的別にいくつもデスクを用意しておくことで、それぞれの作業にぴったり合った環境が用意できるだけでなく、気持ちをはっきりと切り替えてメリハリのある作業を行うことができます。
デスクとひとことで言っても、一般的なオフィスデスクからサイドテーブルタイプ、パソコンラックや後付けのスタンディングデスクパーツなど実に様々です。壁に棚を取り付けてちょっとした作業机にするなんて方法もありますね。
これらを目的によって上手に組み合わせて、快適なデスク環境を作っててはいかがでしょうか。
一台だけ選ぶなら「柔軟性」を重視
デスクを何個も置くスペースはない、という方は、色々な姿勢に柔軟に対応できるエルゴノミクス家具を選ぶのがオススメです。
少しお値段が張ってしまうのが難点ですが、やはりいいものは良いもの。人間工学に基づいて考え抜かれた豊富な機能によって、どんな人にもピッタリ合ったデスク環境を作り出すことが可能です。
長時間作業しない!
いつまでも座っていられるチェアー・・・といっても、本当にいつまでも座っていていいはずがありません。同じ場所に長時間座ったままだと、心臓病や糖尿病といったリスクが上昇することが研究で明らかになっています。ご注意を。
スタンディングデスクなら安全、という方もご用心。別の研究では、長時間立ったままだと筋肉疲労や不安感で精神環境が悪化するなんてデータもあるそうです。
どちらの場合にせよ、長時間作業を続けているとついつい姿勢が崩れてしまいがち。悪い姿勢は万病の元だけでなく、作業自体の効率も低下させてしまいます。
人が1日で集中できる時間は4時間が限度だとも言われています。どんなに快適なデスク環境を作っても、こまめに休憩を入れつつ、なるべく短時間で作業を終わらせるようにするという鉄則は変わらないのです。
色々と書きましたが、自分にぴったり合った家具というものは、なかなか理屈だけでは見えてこないもの。ぜひぜひメーカーのショールームや大型家具店などに足を運び、実際に座ってみることをおすすめします。
日頃モチベーションがなかなか上がらない人も、ホンモノの椅子やデスクに触れることで、やる気がアップするかも・・・?